2.遊園地









今日は遊園地に行く日だ。




美桜の彼氏の黒川のデートのはずが、なぜか俺まで誘われて。


だけど3人じゃ気まずいからって千歳も一緒に来てくれるんだけど……


正直言って、目の前でイチャつかれちゃへこむ。









そんなことを考えながら、集合の駅へと向かっている。



もうすぐつくところだ。







「あ、葵。おはよう」


すでに来ていた千歳が言った。



「おはよ。さすが、千歳。早いなあ、まだ10分前だよ?」



「遅れちゃいけないって思って早く来たの。下田さんたちがどれくらいの時間にくるか分からなかったから。」


そう言って千歳は微笑むけど、きっと本当は、もし美桜たちが早かったとき俺が気まずくならないように先に来てくれたんだなっておもった。




「……つき合わせてごめん。来てくれてありがとな。」





「そんな、お礼言われるほどのことじゃないよ。遊園地、行きたかったし。」


そう言って千歳は笑った。




その後美桜と黒川が来たから電車に乗って遊園地へ向かった。


「なあ、西野ー アイツなんて名前?」


黒川が千歳を指しながら聞く。


千歳は美桜と喋っていた。




「嶋倉千歳だよ。翔の幼馴染。」


「へえ そうか。嶋倉千歳ね・・・。」


よくわからない返事だったけど、俺は気にしなかった。






それから少しして、目的地へついた。





「まずはあれのろう!いこ、千歳ちゃん」


そう言った美桜は千歳の手をつかんでアトラクションの方へ走っていく。


「あ、ちょ、おいてくなよ!」





それから、いくつかのアトラクションに乗った俺たちは、おばけ屋敷のところまで来た。



「えっと、どうする?4人で行くか?」


黒川が言う。


そうすると、千歳が申し訳なさそうに言った。

「…ごめん、あたしここで待ってていいかな?実は苦手なんだよね………」


「そっか、じゃあ千歳ちゃんここで待っててね?」


残念そうに美桜が言う。


「いや、俺も待ってるよ。だから2人で行ってこいよ。」


気がついたらそう言っていた。


きっと、俺は逃げようとしたんだろうな。



これ以上2人といるのは辛かったから………









「………ごめんね。」


俺が考え込んでいる間に、2人はおばけ屋敷へ入ったみたいで、それを見送った千歳が言った。



「あたしのことなんか気にしないでいってくれてよかっ「そうじゃ、ない」


千歳の言葉を遮って言う。


「違う、おれは……俺は、千歳を使って逃げただけだよ。」



そう……逃げただけだ



「……ごめん」


千歳が言う。


ちがう、千歳が謝ることは無い。


悪いのは俺だ。



そういいたいけど、言葉が出てこなかった。







……沈黙が訪れる











「ね、葵。行こう?」



「へ?」



俺の手をつかんで千歳が言った。



いきなりだったから、ずいぶん間抜けな声を出してしまった。




「ここで待っててもつまんないでしょ。だから行こう?」



そう言って俺の手を掴んだまま歩き出してしまう。





また俺は千歳に迷惑をかけてしまった。



気を遣わせてしまったのだろう。



ダメじゃん、おれ。







ぼうっとそんなことを考えながら歩いていたから


俺は前を歩く‐いまだに手をつかまれたままだ‐千歳が止まった事に気づかなくて


彼女にぶつかってしまった。




「あ、わりぃぶつ…「逃げたっていいじゃん!」



俺の声にかぶせるように千歳が言った。






「あたしを使っていいよ、逃げたっていいんだよ……」








なんで、そんなこと言うんだよ………






千歳は優しい。





優しすぎる……








だから俺はそれに甘えてしまうんだ。










いつもいつも………



















ばっく ねくすと