『どきなさいッ』
頬を打つ音が聞こえる。
『あんたたちのせいよ!あんたたちが居るから私は!』
尋華は震えてうずくまっている。
―だいじょうぶだよ。僕が居るから。
由貴はこの、女の癇癪がすぐ終わることを知っていた。
いつものことなのだ。
この女(ヒト)はこうしないといられないのだ。

ほら、もうおわった。
―だいじょうぶだよ。
由貴はもう一度そう言って、より強く尋華を抱きしめた。
尋華も由貴にすがるように握りしめた。


『どうしているのよ!』
またいつもの癇癪。
尋華はどこだろう。
―尋華…?
みつけた。
『邪魔なのよ!あんたたちのせいで!』
響く頬を打つ音。
―だいじょうぶだよ、尋華。
由貴は尋華を抱きしめた。
由貴は女を見た。
ジッと見続けた。
『い、いや、こないで…!い


―だいじょうぶだよ。
由貴はもう一度そう言って、より強く抱きしめた。
ご飯の用意をしなくちゃ。
―はい尋華。
スプーンを口元に運ぶ。
しかしそれはこぼれてしまった。
―ああ、もう。尋華ったら。汚しちゃダメだろ。
なんども口元に運ぶが、すべてこぼれてしまう。
―もう、しょうがないなあ。
由貴と尋華はいつも一緒。
どこへいくのも何をするのも一緒。
ずっと、いっしょ……




――――――

すっごく病んでますね。
なんでこんなになっちゃったんだろ、ってわたしも不思議です。
このシリーズはみんな病んじゃいそうです。


執筆日2010.06.24
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