1.クリスマスパーティー






冬休みが始まり、クリスマスイブという今日。

学校のやつらと『クリスマスパーティー』っつーのをやっている。



・・・バカデカイ隆宏ん家で









「はやく帰れよー・・・」
ボソッと俺はつぶやく。


それを聞いた翔が言った。
「まあそーいうなって、葵」


「だって早くしねーと俺らのパーティーできなくなっちゃうじゃん!」


「それもそうだよなー。 よし、こーたろーう!たのんだ!」
俺の文句に隆宏が賛成し、そして光太郎に言った。


その声に苦笑しながらはいはいと返事した光太郎はみんなに向かって言った。




「そろそろお開きにしよーぜ!暗くなってきたし」




光太郎がそういうと、みんな片付けや帰る準備をはじめた。




「やっぱスゲェよなあ 光太郎って」

「さすが学級委員長!」

翔と隆宏が言う。



そう、光太郎はクラスで学級委員長をしている。


そんな光太郎は俺らん中でまとめやくだ。




「じゃーな!またこんど」




そしてみんなは帰っていく。


そしたら1人の女子がからかうように俺に言ってきた。



「あははっ、はやく鳴海たちだけでのパーティーやりたいんでしょ?葵わっかりーやすーい」

その女子は下田美桜、俺の幼馴染だ。


「うるせ、いいじゃんべつに。 気をつけて帰れよ。」

「まあね。わかってる、じゃあまたね」





そう言って美桜も帰り、やっとはじめられるようになった。














「よしっじゃあやろうぜ!」
はりきっていってみた。


そしたら翔と隆宏がニヤつきながら俺のほうへくる。


「やっぱテンションあがるよねぇ」

「だよなー」




「好きだもんねー 下田のこと」

ニヤついた顔のまま翔が言う。







「うるせ、…どうせあいつは俺のことなんか唯の幼馴染としか思ってねえよ」








そう。俺は、さっき話していた美桜のことが好きなのだ。


だけどあいつには彼氏がいて・・・










「ケーキ、出来たよ」





うしろから声がした。



「うおっ な、おまえなあ。人の後ろに立つなよ…」

翔が言う。


「だって、そこ邪魔。」




彼女は嶋倉千歳。お菓子作りが得意な翔の幼馴染だ。





「ほらほらどきなさい! ちいがケーキ運べないでしょ!」



こっちは千歳の親友の藤野恵。


この2人の女子は、俺ら西野葵・鳴海翔・神埼光太郎・落合隆宏の4人と一番仲のいい女子だ。





「お前ら座れよ、恵と千歳もそこ突っ立ってないではやく座りな。はじめようぜ」
光太郎が言う。







そうして俺らだけのクリスマスパーティーがはじまった。












「でもさ、行くんだろ?明日。大丈夫なのか?」
隆宏が言う。



明日とは、美桜とその彼氏とのデートに俺と千歳が一緒に行くことだ。




「あー まあ大丈夫だろ。千歳もいるし、な?」


そう言って俺は千歳をみる。


そしたら千歳はビックリして危うくコップを落しそうになっていた。



「え?あ、あ うん。大丈夫でしょ・・・たぶん」
少しどもりながら千歳が言った。



そんな千歳の腕をもって恵は楽しそうに言った。

「大丈夫だよ。さっきケーキ作ってるときにウチとちいで作戦会議したから」





作戦会議ってなんだよ、。なんか変なことするんじゃねえだろうな・・・


そう思っていたら翔も同じことを考えていたらしい。


「変なことするんじゃねえだろうな?」

そういって翔は恵に疑いの目を向ける。




「しないっつの!うちらは色々と対策を練っていたんだよ」

自慢げに恵が言う。

それをフォローするように千歳が付け足した。


「うん、なにもしないよ。だってあたしは3人じゃ気まずいから、頭数合わせるために行くだけだし。」




「葵のこと、頼んだぞ」

そう言った光太郎に、ニコ…と笑っていった。

「うん。わかってる」






って、光太郎… お前は俺の保護者かよっ











「ま、とりあえずそれはこれで終わりで、もっと楽しもうぜ!じゃなきゃせっかくのクリスマスが台無しだ。」


「そうそう。そうだ、プレゼント交換しよう!」

翔と隆宏がいう。





この2人は盛り上げやくだ。




にしても、プレゼント交換って小学生みたいだ。




これでも俺ら中学生だけども。









男子が4人でうたう歌に合わせてまわす。











〜♪   と、ここで歌が止まる。



ちなみに、打ち合わせをしていたわけではないんだけど…

でも同じ場所で止まった。


これはある意味すごいことだと思う。





「これ、だれの?」

千歳がプレゼントを持ち上げていった。


その水色の紙袋は俺のだった。


「それ、俺の。ちなみに中身はあけてからのお楽しみー」


「そっか、楽しみ。てことは葵のは隆宏のだね。」


俺の隣の隆宏を見て言った。



「うん俺のー ラッキーだな!葵は」


得意げに言う。が、ホントにラッキーなのか?




「隆宏のはウチのプレゼント!」

「んでもって、恵のは俺が選んだやつ。んで俺のは翔だな。」

恵と光太郎が言う。




「俺のは千歳だ。なんかシンプルそうなんだけど…」


翔の手にあるのは白のシンプルな包み。

千歳らしい包みだと思う。




「じゃあ、あけようぜ」


その光太郎の声に、みんなは一斉にあけはじめる。






「…かわいい、これ。」


千歳が言う。


「ほんとか!?よかったー」


喜んでもらえるっていうのはすごく嬉しい。





「やっぱ千歳のシンプルだ。だけどかっこいいな、これ」


「そう、それはよかった。」



よろこんでる翔に対して、千歳はうすい反応を返した。




「なんだよその反応… まあいいけど。」





翔はそんなこと言ってるけど、千歳が照れてることを知ってる。


だけどそれをいわないところが翔のいいところ




だけどそんな思いも虚しく、隆宏が言った。



怒られてもしーらね






「てれんなよ ちとせぇ」


「っうるさい、バカ!」





そんな隆宏と千歳のやり取りにみんな笑う。


千歳は顔を真っ赤にして怒ってた。



でもそんなんじゃ迫力ないよ、千歳。

















それから少したって、今日はもう終わりにする事になった。




「千歳と恵は俺が責任もって送っていくからな。」



「頼んだぞ、翔」
光太郎が言う。




翔と千歳は同じマンションで、恵もその近くに住んでるから、翔が二人を送ることになっている。





「じゃあね。あ、明日ちいのことよろしくね!葵」
恵が言った。



「わかってる。じゃあな、翔、千歳、恵」



「ばいばい。葵、あしたね」
千歳もそう言った。








「じゃあな、恵」

「うん、じゃあね。光太郎」








そうして解散したみんなは帰路につく。










ふと、夜空を見上げて思った。



こんな楽しい日々が、みんなでバカ騒ぎできる日々が、いつまでも続くといいなって……




















ねくすと